『礒山雅随想集 神の降り立つ楽堂にて』 

大阪のクラシック音楽ホールいずみホールの音楽ディレクターを約30年にわたって務められた礒山氏のエッセイ・論考がまとめられたもの。

第一部ではホールを基盤としたコンサートづくり・音楽文化づくりがどのようなコンセプトで行われて来たのか、30年の歩みとともに振り返られている。

第二部に礒山氏のエッセイが収められている。「I教授の家」という礒山氏のサイトに掲載されていた談話のような切り口で、音楽への向き合い方などハッとさせられる論考も多く勉強になると同時に、音楽学や美学という学問を知った当初の憧れのようなものを思い出せた気がした。

Youtubeの朗読動画

少し古い文学作品では時折読めない漢字が出てきて、調べるのも手間だったりするけれど、朗読動画を使ってその問題を解消。
倍速再生すると速聴にもなるので、毎日ちょっと時間を取って聞くようにしている。

【全編朗読】夏目漱石三四郎

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平川克美 『株式会社の世界史』

常見陽平さんの書評を見て興味を持ち購入。

圧巻の教養書だった。「株式会社学」の教科書である。これまでの400年、これからの100年をまさに総合的、俯瞰的に捉えたものだった。
新型コロナウイルスショックのことは、帯にしか書いていない。ただ、これくらいの超長期スパンで捉えることにより、この意味することが、よく分かる。結果として、コロナと株式会社を読み解くガイドになっている。

お硬い教科書的な記述でなく、話が色々な方向に展開されていて、読み物としてとても面白い。
(本書の構想ももとは社会人大学院の授業からとのこと)

序 章 株式会社という幻想共同体
〈第Ⅰ部 株式会社の500年―その歴史〉
第1章 ヴェニスの商人の時代
第2章 東インド会社の設立
第3章 複式簿記の発明
第4章 『国富論』とアメリカ合衆国の誕生
第5章 株式会社の蘇生力
〈第Ⅱ部 株式会社の「原理」と「病理」-コーポレート・フィロソフィー〉
第6章 経済的人間
第7章 株式会社の性格について
第8章 彼らが会社を愛した理由
第9章 欲望が作り上げた幻想
第10章 株式会社という幻想共同体と個人の欲望
第11章 技術イノベーションと「生の原基」
第12章 個人の倫理と国家の倫理
終 章 株式会社はどこへ行くのか

 
第一部の話の中心にあるシェイクスピアヴェニスの商人』もまだ持ってなかったので、これを機に購入して一気読み。

ヴェニスの商人 (新潮文庫)

ヴェニスの商人 (新潮文庫)