京大式カード

本を読んでいていいなと思った箇所を、一枚に収まる範囲で手書き。
個人的な引用集として蓄積中。
まだ数十枚だけれど、これがもっと溜まっていくと、感銘を受け自分の一部となった言葉の記録として楽しめると思う。

平均律のポケット楽譜とバッハ本を購入

昨日のメジューエワさんの講座では楽譜を見ながら演奏を聞く方も多かったが、ポケットサイズのを手にしている方がいたので、自分もそれが欲しくなり丸善丸の内店で探して買ってみた。

19世紀の旧バッハ全集に関わったというフランツ・クロールの校訂版。一部異名同音調に書き直されている(第1巻第8曲嬰ニ短調変ホ短調、第2巻第3曲嬰ハ長調変ニ長調、第8曲嬰ニ短調変ホ短調)。

インヴェンションとシンフォニア」も買おうとしたが、速度記号、強弱等など余計な書き込みが多いハンス・ビショッフ校訂版なのでやめた。市田儀一郎編のでポケット版も出してほしい。

公式サイトでのラインナップ
全音ポケットピアノライブラリーの商品一覧:全音オンラインショップ


また礒山雅先生のバッハの本も購入した。

バッハ=魂のエヴァンゲリスト (講談社学術文庫)

バッハ=魂のエヴァンゲリスト (講談社学術文庫)

 「はじめに」より。

(...)私は、享楽主義の風潮に反発するものではなく、むしろ日々それとともに歩んでいる者だが、過ぎ去りゆく人生の空しさからなるべく目をそらし、目先の欲求を満たしていこうとする生活によっては、精神の飢えは本当には満たされないと痛感する。
 バッハは、そんなわれわれに、いわば魂の福音を与えてくれる人である。人間の小ささ、人生の空しさをバッハはわれわれ以上によく知っているが、だからといってバッハは人間に絶望するのではなく、現実を超えてより良いものをめざそうとする人間の可能性への信頼を、音楽に盛り込んだ。その意味でバッハの音楽は、切実であると同時に、きわめて楽天的でもある。バッハの音楽を聴くとき、われわれは、人間の中にもそうした可能性があることを教えられて、幸福になるのである。あらゆる言論が相対化され、芸術さえパロディ化、コラージュ化を受けていく現代にあって、バッハの音楽ほど力強い肯定を語り、われわれの心に、確信の灯をともすものがあるだろうか。

バッハ平均律講座(角倉一朗氏×イリーナ・メジューエワさん)

今日は角倉一朗氏の解説とイリーナ・メジューエワさんの演奏によるバッハ平均律の講座を聞きに新宿へ。

特に両者での事前すり合わせ等はしていなかったようで、はじめに角倉さんがメジューエワさんにとって平均律とはどんな存在かを聞き、それに答える形で講義がスタート。

メジューエワさんは日本在住が長く、日本語もとてもお上手。平均律については、最も奥の深い作品で、アルファ~オメガであり、過去未来現在すべてを含むということをおっしゃっていた。小さい頃はやらずにいたので、もっと早く取り組めばよかったなんてセリフも(笑)。

聴く難しさもあれば、楽譜を見ることでわかることもある、練習曲として鍵盤楽器で弾くことも全て含まれているなど、ピアノ学習者は避けられない作品であることを再認識させられた。

その後資料に沿って角倉氏による成り立ちや特徴についての説明。自筆譜のスライドでは、バッハの力強い筆跡と妻アンナ・マグダレーナによる筆写譜(第2巻の約1/3)の丁寧で細かい筆跡との比較なども見せてくれた。19世紀以降に普及した楽譜は誤植も多く、最も広まったツェルニー校訂版は第1巻ハ長調前奏曲が1小節多い話も。

そもそもバッハの自筆譜にはテンポ・表情の指示は非常に少なく、強弱の指示は皆無。解釈は学習者・演奏者に大きく委ねられており、さらにそれを現代のピアノで弾くというのは、面白くもありとても難しいところでもあるとのこと。

メジューエワさんの演奏は、続けて集中できるようにと、解説は間に挟まない構成。各声部の弾き分けが素晴らしいのはもちろん、ダイナミックに弾く解釈も。フォルテシモでキンキン鳴ってしまう場面があり、ピアノの状態があまり良くなかったっぽいのが少し残念だけれど、学生時代からのファンであるピアニストの演奏を、呼吸やペダリングなどが見れるほどの至近距離で聞けてよかった。

リサイタルよりも短い時間で、このくらいの長さのほうが集中力も持つので、大ホールで聞くより全然よかった。おじちゃんおばちゃんたちの雑音を差し引いても、お金を払う価値は十分にあった。

第1巻より(4曲):
ハ長調 BWV846
ト短調 BWV861
変イ長調 BWV862
嬰ト短調 BWV863

第2巻より(4曲)
ヘ長調 BWV880
ヘ短調 BWV881
嬰ヘ短調 BWV883
ロ長調 BWV892

メジューエワさんの本とCD

 昨年9月に出版された、ピアノの名曲についての語り下ろしの本。一章がバッハで、平均律も一番最初に登場。

平均律クラヴィーア曲集第1巻 メジューエワ(2CD)

平均律クラヴィーア曲集第1巻 メジューエワ(2CD)

平均律クラヴィーア曲集 第2巻 イリーナ・メジューエワ(ピアノ)(2CD)

平均律クラヴィーア曲集 第2巻 イリーナ・メジューエワ(ピアノ)(2CD)

 バッハは演奏会で一度きりでなく、録音でひたすらリピートして聴く。