アウグスティヌスの時間定義と「いまに在る」生き方

アウグスティヌスは時間という不思議な経験を人間の精神的能力と関係させて、現在を知覚、過去を記憶、未来を期待と規定しました。こうすることによって、広大な時間の流れは全部、一人ひとりの意識の構造の中に取り込まれてしまうのです。限られた小さな人間という存在が、こういう形で時間の広がりを、個人個人の経験する出来事と結びつけて、宇宙が成立してこの方、広がり続けている時の流れをつなぎとめるという人間の精神の不思議な力を彼に教わりました。これは「時間の内化」としてアウグスティヌスの特色の一つにされていますが、これほど玄妙な人間の精神がつかみ得ないものこそが永遠であり、時間の偉大さがわかればわかるほど、それをはるかに超えている永遠の考えようもない偉大さがわかってきます。
(『出会いの輝き』p186)

 エックハルト・トール氏の『超シンプルなさとり方』に出てくる「いまに在る」という思考から、大いなる存在とのつながりというさとりと通ずるものではないか。そうであれば、その類似性や差異について関連づけて課題としてみたい。