未完成の中に追放されている(グリモー『幸せのレッスン』より)

文学先生の言葉より。

ボードレールはこんなふうに言っています。「詩によって、詩を通して、そして音楽によって、音楽を通して、魂は墓の背後に広がる燦然たる輝きにふときづくことができる」*1と。私たちは美しいものと出会ったときに涙を流しますが、ボードレールはこの涙こそが、私たち人間が未完成の中に追放されている証拠だと考えていました。未完成の中に追放されているからこそ、人間は今、自分たちが生きるこの世に、失われた楽園をふたたち作り上げようとするのだとね。(p.35)

*1:ボードレールエドガー・ポーに関する新たな覚書』からの引用