網の目のように広がる書物たち 『生きる哲学』を軸に

生きる哲学 (文春新書)

生きる哲学 (文春新書)

若松英輔氏によるこの書物では、哲学者だけでなく、詩人、芸術家、心理学者、皇后美智子様まで、一つの肩書では語れない14人の哲学を生きた人を中心に、その哲学に連なる人々が語り綴ったコトバが紹介されている。恥ずかしながら本書ではじめて知った人も多かったが、何か新しい出会いに恵まれたような気持ちにもなれた。

巻末のブックリストには「読者には、ぜひ本書でふれた原点に直接当たって「哲学」を実感して頂きたい」とある。若松氏の思想の軸(霊性)を参考にしながら読むことで、漠然と多読するよりも、強い連関を意識しながら世界を広げられると思う。また既読のものも、以前とは違った観点で再読することで見えてくるものもあると思う。

これらの書物を通して、いろいろな生きる哲学のコトバに触れていきたい。


序章 生きる 言葉と出会うということ

第一章 歩く 須賀敦子の道

第二章 彫る 舟越保武の「かたち」が照らす光

第三章 祈る 原民喜の心願

第四章 喪う 『論語』の哀しみ

第五章 聴く 志村ふくみと呼びかける色

第六章 見る 堀辰雄と風が告げる別れ

第七章 待つ リルケと詩が生まれるとき

第八章 感じる 神谷美恵子の静かな意思

第九章 目覚める 寄り添うブッダ

第十章 燃える 宮澤賢治と病身の妹トシ

第十一章 伝える フランクルが問う人生の意味

第十二章 認める 辰巳芳子と「いのち」

第十三章 読む 皇后と愛しみが架ける橋

終章 書く 井筒俊彦と「生きる哲学」